船塚家の天狗松
どんな伝承か
昔の邑知潟は井田の辺りまで広がっており、その潟で舟をつないだ大きな松が船塚家の屋敷にあったという。丈は高くないが枝振りが見事で、何丈もある太い枝が屋敷の外へ突き出ていた。その松には天狗が住んでいて、天狗が乗り移っている枝が枯れると、同じ所から同じ恰好の枝が出てきて天狗のいる場所を作ったといわれる。松は戦時中に献木として伐られてしまった。伐る時は神主の船木を呼んで祓いをし、天狗にどいてもらってから伐った。人の一人二人では動かせず、何十人もの人足が長いロープで屋敷の外へ引き出したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。