元伊勢の岩穴から汲んだ禁断の霊水
どんな伝承か
一九〇一年四月、ナオは喜三郎夫妻をはじめ幹部・信者三十五人を連れて元伊勢へ出向いた。元伊勢は加佐郡にあるアマテラスオオミカミを祀る古社で、伊勢へ遷る前に最初に遷座した地と伝わる。近くの谷川の巨岩には、うぶだらい、うぶ釜と呼ばれる二つの岩穴があり、汲むことを許されない霊水をたたえていた。一行は日が暮れて見張りの神職が去るのを待ち、そこで禊をして祈り、霊水を汲み取った。水は青竹の筒二本に入れて綾部へ持ち帰り、神前に供えたのち幹部三人の家の井戸に注ぎ、残りを丹後沖の竜宮海に流した。世の立替えを型として示す「水の御用」とされた。
原典より
同年四月、出口ナオは、喜三郎夫妻はじめ三十五人の幹部、信者を従えて元伊勢におもむき、日没で見張りの神職が去ったのち、うぶだらい、うぶ釜で禊をし、祈願して霊水を汲み取った。—— 出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年))
『出口王仁三郎』は、村上重良が昭和四十八年に著した大本教の指導者出口王仁三郎の評伝である。丹波穴太村の小作農の家に生まれた上田喜三郎の生い立ちと修行から、出口直との出会いと大本教の拡大、大正維新と不敬事件、『霊界物語』の口述や入蒙、昭和神聖会と大弾圧、法廷での闘い、晩年までをたどる。「故山の夢」「道の大本」「人類愛善」の三章に分けて叙述し、巻末に略年譜と参考文献を付す。