天狗が憑いた元伊勢の社掌
どんな伝承か
憑きものによる人並み外れた跳躍の例として、丹後の元伊勢神社の上田社掌に天狗が憑いたときの話が挙げられている。社掌は、地上から二十尺あまりもある二階の屋根の上へ地面から跳び上がり、さらにその屋根の棟石の端から逆立ちして、地面へ額から降りることを何度もくり返したという。前の段の、病婦が板塀を跳び越えた話や、荒神に小便をかけた子どもが小屋根へ跳び上がった話と並べて記されている。
原典より
又丹後の元伊勢神社の上田社掌に天狗が憑いたと云ふ時に、地上から二十餘尺もある二階の屋上に地面から飛上り、また其屋上の棟石の端から、逆立ちをして地上に額下することを何回もやつたと云ふ。—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))
『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。