海軍将官と華族が相次いだ綾部参り
どんな伝承か
「神霊界」が創刊された一九一七年、浅野和三郎が綾部に住んだのを機に、海軍の上級軍人の入信が相次いだ。中将に進んでいた兄の浅野正恭や、日本海海戦で参謀を務めた秋山真之少将をはじめ、佐官・尉官の入信者が続き、舞鶴からはほぼ毎日のように海軍の将兵が綾部へ参拝に来た。医学博士の岸一太ら知識人も研究のために綾部を訪れて入信した。同年四月には子爵水野直と岩下成一、昭憲皇太后の姪にあたる男爵夫人鶴殿ちか子が相次いで綾部を訪れ、鶴殿は熱心な信者となって大宮守子と名乗った。皇室の周辺にまで及んだ入信は、当局の強い警戒を招くことになったという。
原典より
一九一七年(大正六)四月、子爵・水野直、同岩下成一と、男爵夫人で昭憲皇太后の姪にあたる鶴殿ちか子が相次いで綾部を訪れた。—— 出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年))
『出口王仁三郎』は、村上重良が昭和四十八年に著した大本教の指導者出口王仁三郎の評伝である。丹波穴太村の小作農の家に生まれた上田喜三郎の生い立ちと修行から、出口直との出会いと大本教の拡大、大正維新と不敬事件、『霊界物語』の口述や入蒙、昭和神聖会と大弾圧、法廷での闘い、晩年までをたどる。「故山の夢」「道の大本」「人類愛善」の三章に分けて叙述し、巻末に略年譜と参考文献を付す。