佐女川神社の寒中みそぎ
どんな伝承か
上磯郡木古内町の佐女川神社は、寛永二年に武田信広の臣河野守源広影が武運長久を祈って建てたと伝え、四柱の神を合祀する。この社には寒中の垢離取りという奇習が残り、毎年正月十四日から四日間、雪の降り積む暁にも裂帛のかけ声が闇を貫く。始まりは天保年間の初めで、当時の別当の夢枕に、神体が垢で汚れているから川と海で洗い清めよとの告げがあったからだという。行事には町内から未婚の男子四名が選ばれ、十七日の祈願祭まで外界との交渉を断ち、社前の小川で水垢離を取って身を清める。十五日と十七日には行列を組んで御神体を海へ運び、凍る海中で垢離を取る。この間だけは猛吹雪も必ず静まると言い伝えられている。
原典より
上磯郡木古内町にある佐女川神社は、寛永二年武田信広の臣河野守源広影が武運長久を祈って建立したもので、神皇霊神・鵜葺草葺不合尊・倉稲霊尊・玉依姫命の四柱の神を合祀したものと言われるが、この神社に残る寒中垢離取りの奇習行事が…—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。