お告げで駒形神社脇から掘り出された観音
どんな伝承か
昭和二年一月八日の昼ごろ、箱根町に五十五、六歳のみすぼらしい女修行者が現れ、町会議員で土木請負業の富岡定雄を訪ねた。町はずれの駒形神社のそばに如意輪観音が埋まっているという神のお告げを受けたので掘り出してほしいという。富岡は半信半疑で人夫三人を連れて行き、芦川の駒形神社の鳥居の左わきにある、葦の茂った町の共有地を掘らせたところ、地下三尺ほどで観音像が見つかった。翌日さらに人を集めて掘ると、ほかに観音像六体、地蔵六体、供養塔、元禄十四年の銘のある塔が出た。女は静岡県の雨宮とだけ名乗って去り、神の使いだと噂されたという。
原典より
人夫たちは、あまりの奇怪さに、夢に夢みる心地で、一生懸命掘り進み、夕刻頃とうとう高さ二尺五寸、幅一尺五寸の観音像と、高さ三尺ばかりの台石を掘り上げた。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。