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伐るたび鳴動した箱根の山林

所在地神奈川県足柄下郡箱根町(箱根山)
年代明治
登場津田次郎吉、体験者、伝承者、直話の語り手(土地の人)
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

箱根山の帝室林野管理所に詰めていた人が、土地の津田次郎吉から直に聞いたという話である。明治より前の箱根の山林は鬱蒼として、大木の重なる場所では白昼でも提灯なしには歩けないほどで、山には天狗がいると言われていた。明治の初めから伐採が始まると、晴天の日でも木を伐るたびに山が鳴動し、大木の倒れる音や小枝のもげる音が凄まじく響いた。誰もいないはずの場所で起こるのである。さらに飛行機の唸りのような怪音が上空を行き来し、人々は這う這うの体で山を飛び出した。人が引き上げると荒れは自ずと静まり、日は麗らかに照っていたという。年月がたって山が明るくなるにつれ、こうした怪事も絶えていった。

原典より

箱根山の帝室林野管理所に詰めて居た人が、土地の津田次郎吉なる人の直話として左の如きことを聴かしてくれた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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