宿の廊下ですれ違った島田髷の美女
どんな伝承か
小学二年生のとき、箱根の宿に泊まった夜、祖母と連れ立って部屋を出て手洗いに向かった。長い廊下を歩いていると、向こうから真っ赤な襦袢を着た女性が足音も立てずに歩いてきた。地毛で島田髷を結った大変美しい人で、すれ違ったときに驚くほど見とれ、思わず振り返るとその姿はもうどこにも見当たらなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。