お惣前山の狼の大将太郎坊の恩返し
どんな伝承か
お惣前山にはたくさんの狼がいて、晩方には子どもが恐れて外に出られぬほどであった。ある晩、太田に住む作という炭焼きが、お惣前山の峠で大きな狼に出あう。狼は足をひきずり、頭をたれて近寄ってきたので、度胸のある作は足に刺さったとげを刈串で抜いてやった。数年後の晩秋の夜、どぶろくをたくさん飲んだ作は、皆が止めるのも聞かず峠を越えて帰ろうとし、四、五匹の狼に囲まれてしまう。飛びかかられそうになったとき、ひときわ大きな狼が現れて他を追い払った。作がとげを抜いてやった、太郎坊という狼の大将であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。