小僧の額の火花で焼けた正法寺
どんな伝承か
黒石の正法寺は、昔一度焼けたことがあるという。昔、正法寺では小僧を十人ばかり使っていた。住職の和尚は、板の間拭き、庭掃除、勤めの支度、飯の仕度と、休む暇もないほど小僧たちを働かせた。小僧たちは懸命に働いたが、あまり働かされるのですねて仕事をしなくなった。和尚は何度言っても働かないので、怒って寺の大杉に登ってしまった。驚いた小僧たちは自分たちが悪かったと悔い、大杉のまわりに網を張り、その端をしっかりつかんで、飛び下りてくださいと口をそろえて頼んだ。和尚が声をかけて網の真ん中めがけて飛び下りると、その勢いで小僧たちが額をぶつけ合い、火花が飛んだ。その火花が寺に燃え移って火事になったと伝える。
原典より
黒石の正法寺は、昔一度焼けたことがあるそうです。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。