大蛇となった長者の妻と佐夜姫
どんな伝承か
奥州市胆沢南都田に伝わる掃部長者の話。近郷一番の大福者である掃部長者の妻は欲深く、三百六十五人の下男下女を朝早くから夜遅くまで働かせ、雨の日に休ませるのを惜しんで傘やケラを作らせた。ある日、下女が井戸端で捕えた赤魚を妻が味噌にくるんで食べ、渇いて自ら井戸端で顔を突っ込んで飲むうちに石が崩れて水に落ち、大蛇となって上葉場村を湖にして棲みついた。毎年女一人を生贄に取られるようになり、その年は郡司兵衛の番に当たった。一人娘を惜しんだ兵衛は、肥前松浦から佐夜姫を連れ帰る。姫は尼坂で髪を刈り、化粧坂で化粧し、道伯森の台の上で薬師如来と法華経を誦して大蛇の角を落とした。角は角塚に、体は大塚に埋めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。