鍋の中の赤子とふくつの貝
どんな伝承か
むかし、庚申待をしている人達のところへ、素性のよく分からない一人の男が「わたしも仲間に入れてくれ」と訪ねてきた。無理にも参りたいというので仲間に加えた。廻り宿のその家では大きな鍋で御馳走を煮ていたが、家の者が席を外した隙に仲間の一人が鍋の蓋を開けると、中には赤子を丸ごと煮たものが入っていた。恐ろしくなった仲間たちは、眠っていた男一人を残して逃げ出した。目を覚ました男は誰もいないので、御馳走になったのだからと一人で食べた。じつは御馳走をしたのは庚申さまで、残った男は東方朔、煮られていたのは赤子の姿に見えるふくつの貝であった。東方朔はそれを食べて八千年も生きたといい、今も「東方朔は八千年」という諺があると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。