漆山で待ち伏せた久木太の弥三郎婆
どんな伝承か
柏崎の八石山の下、善根村久木太に弥三郎婆と評判の婆がいた。山犬や狼を連れて漆山に待ち伏せ、通る人を苦しめ、ついには人まで食う。十一月の末、息子の弥三郎が柏崎からの帰りに漆山にさしかかると、婆が獣を連れて追って来る。大木に登った弥三郎を掴み落とそうとするので鉈で額を殴ると、婆は悲鳴をあげて逃げた。家では母が額に傷を負い、子は味噌と間違えて嘗めたという。母は鬼の正体を現して破風を抜け八石山へ逃げ、岩屋に住んで赤い日傘の葬列から棺をさらった。飛岡の浄慶寺が青の日傘に改めてから被害はやんだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。