わが子を食った弥三郎ばば
どんな伝承か
柏崎の善根久木太に伝わる弥三郎婆の話。この地の弥三郎の家には八十を越えた老婆がおり、近隣から鬼ばばと呼ばれて相手にされなかった。弥三郎が意見しても悪業はやまない。ある晩、山から戻る途中で狼の群れに囲まれた弥三郎は漆の木に登って逃れたが、狼どもは手に負えぬと言って頭の弥三郎ばばを呼びにやった。現れた鬼ばばの額をなたで切りつけると逃げ去り、帰宅すると老婆は風邪と称して額に鉢巻をして寝ていた。翌朝、妻の声で部屋をのぞくと老婆はわが子を食っている。斬りかかると老婆は鬼と化して破風から飛び出し、弥彦山の岩穴に籠もった。床板の下からは食い殺された祖母の衣類と骨が出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。