産女の赤子を抱いた金蔵
どんな伝承か
お産で死んだ人の幽霊を産女といい、これに会った人は大力になるという。また、逃げないでじっとしていると、金や麻糸をくれるとも伝わる。金蔵の家は祖母が産で死んでから身代が傾き、貧乏暮らしをしていた。正月十四日の晩、金蔵が便所に行くと、ざんばら髪のやせた若い女の幽霊が現れ、赤子を抱いていてくれと頼む。だんだん重くなる赤子をこらえて抱いていると、再び幽霊が現れ、礼に金がいいか力がいいかと聞いた。金蔵が力がよいと答えると、産女は会ったことを口外するなという。翌朝、金蔵が顔を洗って手拭いをしぼると切れてしまい、水をはった風呂桶も庭石も簡単に持ち上がった。以後、金蔵は真面目に働いて金持ちになり、近所の人の面倒をよく見るようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。