仏向寺の門前で飴を買う女
どんな伝承か
安永の頃、羽州天童の仏向寺は塔頭を十も数えるほどの寺で、山門の前に花屋があった。花屋は飴も売っており、晩になると若い女が一文銭を持って飴を買いに来た。六日目の晩、女は今晩かぎりですと悲しそうに言った。不審に思った主人が後をつけると、女は墓地に入り墓石の内へ姿を消した。翌日、赤児の泣き声を頼りに行くと、昨夜の墓石の下から声がする。住職とともに石を除けると、女の屍骸に抱かれた赤児がいた。女の夫は、女房は児を身ごもったまま死んだと語った。死んでから産んだのである。赤児は丈夫に育ち、天童では幽霊の赤児と呼んだものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承