川で洗い合う死んだ二人の妻
どんな伝承か
羽州の矢野目村に、ミツという美しい娘がいて周助の嫁となり、同じ村のアキも劣らず美しく松吉の女房となった。ある年、流行病に罹ってミツもアキも死に、夫たちは嘆き悲しんだ。それから数年経って、二人は村の者たちと羽黒山へ参りに出かけ、その帰りの山道で迷ってしまう。水音を頼りに歩くと思ったとおり川岸に出た。川の中では二人の女が真裸で背中も腹も洗い合っており、まるで夫婦もののように見えた。顔を見て二人は驚いた。死んだミツとアキだったのである。名を呼ぶと、二人の女は抱き合ったまま笑って消えた。周助と松吉は家に戻ったが、数日後にどちらも死んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承