初めての電灯に沸いた郡役所前
どんな伝承か
山形県天童市での話。大正二年頃、郡役所に電灯がつくというある夏の夕方、役所の前には天童町の近郷近在からデンキを一目見ようという老若男女が大勢集まった。役人が危ないから電柱から離れて見るようにと大声で注意した。役所の前には皮をむいたばかりの杉の木が一本立てられ、そのてっぺんに裸電球が一つ見えた。見物人は電柱を遠く囲むように離れ、互いに手を握り合って輪を作り、おっかなびっくり待っていた。今つきますと役人が声を張り上げると五燭光の電球がぱっとつき、一同はわっと歓声を上げて拍手喝采したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。