長生院に果てた照姫と小栗満重
どんな伝承か
常陸小栗の城主満重は城を落ちて三河へ向かう途中、相模の郷士横山大膳の館に招かれた。大膳は山賊を業とする男で、人を食う荒馬をあてがい、それが叶わぬと見るや酒宴で毒を盛り、満重主従を害して屍を野に捨てた。藤沢の上人が夢の告げによって満重ひとりを助け、車に乗せて熊野の湯へ送ると本復したという。横山の家にいた照姫は満重を逃した咎で淵に投げ込まれたが、念じた観音の光に救われ、漁夫の妻に松葉でいぶされても風が煙を逸らした。のちに本領を取り戻した満重は横山を討ち、照姫を迎える。照姫は晩年に髪をおろして長生比丘尼と称し、永享十二年十月十四日、西へ向かって端座したまま世を去ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。