貌隠れの霧が立つ小町の参詣路
どんな伝承か
小野小町がこのあたりにいたころ、難病の平癒を祈るため、後賀から南奥平の里の薬師へ通ったという。その参詣路には七月七日の朝になると必ず霧が立ちこめ、貌隠れの霧と呼ばれて、今も同じように霧が渡ると記されている。小町は薬師へ祈願して歌を詠んで奉納し、薬師からも返しの歌があって、瘡の難病はたちまち癒えた。小町は礼として塩を千俵埋めて供養したといい、今もそこには霊水が湧き、その水は塩の味がすると伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。