二十五両を返した岩神の飛石
どんな伝承か
群馬郡群馬町冷水で語られた、前橋の北にある岩神の飛石の由来。坂東太郎石とも呼ぶこの岩が、むかし伊勢参りに出かけた。江戸で巾着切りに路銀を奪われて困っていると、宿屋の主人が人物を見込んで二十五両を用立ててくれた。名を問われた岩は坂東太郎と答え、無事に参宮を果たす。のちに主人が厩橋まで取り立てに来たが、そんな者はいないと言われて騙されたと思った。通りかかった老人に導かれて石のもとへ行くと、中段に証文と二十五両がきちんと置かれていた。主人は礼にその金を老人に与えて帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。