鈴姫が身を投げた鈴ヶ池の片目魚
どんな伝承か
天正十八年十二月、佐竹の軍勢は薗部の兵を先手として府中城へ攻め入った。薗部城主薗部河内守の娘鈴姫は近郷まれな美貌で、瞳は鈴のように美しかったという。十六の鈴姫は十八歳の大掾清幹に嫁いでいたが、舅の兵が敵に加わって攻め寄せたため、清幹は裏切られた無念に逆上し、鈴姫の片目を刀で突き刺したうえ、燃える城郭へ身を投じた。鈴姫は醜くなったわが目を恥じ、城中の池に身を投げたと伝わる。以来この池の魚はみな片目で、池は鈴ヶ池と呼ばれるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。