鵠を見て口を開いた皇子
どんな伝承か
垂仁天皇のころ、天皇の長男にあたる誉津別命が、越中は黒部の山奥へ連れ去られたという。皇子は物を言わなかったが、ある日、御殿の前庭で空高く飛ぶ鵠を見上げ、あれは何という鳥かと口を開いた。天皇は驚き喜んで、鳥を捕るのが上手な者を呼び、あの白い鳥を生け捕りにしてくれと頼んだ。名人は鳥のあとを追って京都、因幡、三河、信州、越中とめぐり、高志のワナミでついに生け捕った。天皇は大いに喜び、その者を鳥取部の祖にしたという。ワナミは射水郡の久々江、鳥取は同じ射水郡の鳥取、いまの大島町のことだと伝える。
原典より
垂仁天皇の頃、天皇の長男に当る誉津別命が越中の黒部の山奥へ連れ去られてしまった。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。