六十貫の石を鍬ですくう勘右衛門
どんな伝承か
番田の堂垣に、勘右衛門という並外れた力持ちが住んでいた。小坂村の小太郎という牛方も力自慢で、加子母を通りかかったおりに勘右衛門の評判を耳にし、力くらべを挑もうと考えた。小太郎は道ばたにあった六十貫ほどの石を、畦塗りの最中だった勘右衛門の目の前の田へ蹴り落とす。勘右衛門は相手をにらみつけ、小僧、悪さをするなと言い放つと、その大石を鍬ですくい上げ、畦の上へ戻してしまったという。『加子母村誌』が伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。