御幣餅を焦がした官林の大暴風
どんな伝承か
岐阜県大野郡高根村日和田(現高山市高根町日和田)の官林で伐採をしていた人夫たちが、休みの日に飯を炊いて餅をこね、桧の串に刺して味噌をつけた御幣餅を焼いて食べ始めた。すると俄かにかき曇って大暴風になり、大木が倒れて小屋が揺れ、戸が倒れたり外れたりした。嵐が静まって炉辺に集まると、御幣餅は皆真っ黒に焦げて灰だらけになっていた。村へ出てみると誰も嵐のことを知らず、あの小屋の近所だけが荒れたのだった。初めに天狗様に味噌をつけない餅を一本焼き、酒と一緒に供えればよかったのに、それをしなかったのでお怒りに触れたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。