平治物語が伝える夜叉御前の入水
どんな伝承か
『平治物語』は、兵衛佐頼朝の妹で奥波賀にいた夜叉御前のことを記す。兄が捕らえられたと聞いて湯水も飲まずに嘆くので、大炊も延寿も、命を長らえてこそ亡き殿の菩提も弔えると諭した。少し慰んだ様子に見えたので皆が油断していた夜、姫はただ一人宿を出て、遠く隔たった杭瀬川へ行き、十一歳で身を投げた。夜が明けて姿が見えず騒いでいると、旅人が川辺で幼い人の死骸が引き上げられたと告げる。駆けつけるとそれは夜叉御前であった。骸を輿で宿へ運び、中宮大夫の墓所に納めて供養したという。延寿は嘆きのあまり尼となり、頭殿の菩提を弔ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。