尾州侯から戻った亀形の神体石
どんな伝承か
宮崎村大字亀穴、林瑞寺の東にある亀石神社の御神体は、亀の形をした石である。亀穴の徳三郎は一時信州の赤穂村に住んでいたが、裏山で会った白髪の老人から、故郷亀穴の亀石はおまえたちの村の守り神だから粗末に扱えば村中に災難がふりかかると告げられた。急ぎ帰って村長と探したが見つからず、物知りの老婆に聞くと、萩村の医者洞雲が亀形の石を大切にしていたという。萩村へ行くと洞雲は没しており、石は遺言で尾州侯へ献上されていた。願い出ると御紋入りの提灯と紫の幕を添えて下げ渡され、天明五年八月二十五日、亀石はようやく村へ戻った。いま神社のそばに歌人磯丸の歌碑が立つ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。