尾張藩から戻された亀石明神の神体
どんな伝承か
岡崎市の旧宮崎村亀穴、林瑞寺の東にある亀石明神の神体は亀の形をした石で、ここに落ち着くまでの話が伝わる。亀穴の徳三郎が信州の赤穂村に住んでいたころ、裏山で白髪の老人に「郷里の亀石は村の守り神で、粗末にすれば村に災いが起こる」と告げられた。村に帰って村長と探しても見つからず、長寿の老婆に尋ねると、昔萩村の医者洞雲が亀の形の石を庭で大切にしていたという。萩村へ行くと石は遺言で尾張藩主に献上されており、事情を申し上げて願い出ると、御紋入りの提灯と紫幕を添えて返された。天明五年八月二十五日のことで、明神のそばには磯丸の歌碑が残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。