馬に白米を注いだ前田砦
どんな伝承か
元亀三年十二月、武田信玄の武将で信州飯田城主の秋山伯耆守が、東美濃の遠山領上村へ攻め入った。明智城主遠山民部景行の郎党である門野高助・磯之助の兄弟が守る前田砦は、秋山勢の猛攻にも屈せず、本城の岩井戸砦が落ちたあとも頑強に抵抗を続けた。そこで秋山勢は城中へ通じる飲料水の道を断ち、遠巻きにして包囲した。城兵は水が十分にあると見せかけるため、敵陣からよく見える場所へ軍馬を引き出し、馬の背に白米を注ぎかけた。遠目には水で馬を洗っているように映り、砦は容易に降らなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。