七軒より増えぬ笠谷と蛇体の女
どんな伝承か
昔、笠谷の庄屋が寝ていると枕元に美人が現れ、この奥に住む蛇体だが千年の功を積んだので大雨を降らせて大川へ流れ出るつもりだ、村の端の橋が邪魔なので一日だけ撤去してほしいと頼んだ。ところが村人はたくさんの梨の木を集めて杭を作り、竜が潜むといわれる場所の周囲に打ち回した。数日後、村の主だった者の枕元にかの美人が現れ、お前たちの命は三年を待たずにもらい受ける、末代まで笠谷は七軒以上に増やさない、と言い残して去った。それ以来、千軒あった家は七軒になったが、残った七軒はいずれも竜の脱出に協力しようと言った人たちの子孫だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。