伊吹山にこもった怪力の弥三郎
どんな伝承か
伊吹弥三郎は柏原の民家の子どもで、親の腹の中に十五、六ヵ月もいたらしい。生まれた子は力人で、やんちゃばかりしていたので、十四、五の時にそこらの物を持ってきては悪いことをするため家をほうり出されてしまった。その時に伊吹山へ上がってしまい、大江山の酒呑童子と同じように悪者になっては女を連れ去ったりした。弟子もいて、その者が物を取ってきて暮らしていたのだろうという。力もあったらしく、ところどころに伊吹山の上から放ったという石がある。二百貫ほど、三百貫ほどの石が高山にもあり、西村郷のちょっと上にもあると語られる。
原典より
〈高木―「弁慶島」 柳田―「抛石」〉柏原の民家の子どもでな、親の腹の中にな、十五、六ヵ月もいたらしいな。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。