剣を置いて胆吹山へ向かった日本武尊
どんな伝承か
『日本書紀』の伝え。日本武尊は尾張に戻って宮簧媛を娶り、ひと月あまり留まった。近江の五十葺山に荒ぶる神がいると聞くと、剣を媛の家に置いたまま徒歩で向かう。胆吹山に至ると、山の神が大蛇と化して道をふさいだ。尊はこれを主神の使いにすぎないと侮り、蛇をまたいで進む。すると山の神が雲を起こして雨を降らせ、峰も谷も霧に閉ざされて行く道を失った。霧を押して山を出たものの、尊は正気を失ったようになり、山下の泉のほとりで水を飲んで醒めた。その泉を居醒泉と名づけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。