雲原の里に生まれた鬼の子
どんな伝承か
三但の境に雲原という一郷がある。千丈ヶ嶽の西南にあたり、雲原から鬼の岩窟までは二里余りだという。源頼光が夷賊を退治したのち、捕らわれていた女たちはそれぞれ故郷へ帰ったが、一人だけ狂気となって故郷を忘れ、雲原の里にとどまって民家の食を乞うた。その秋、女は男子を産む。生まれながらに歯がそろい、よく物を言い、七、八歳のころには人にすぐれた力で石を打って猪や猿を捕らえ、裂いて食った。郷の人は鬼の子だと恐れつつ捨て置いたが、遠ざけて食も与えなくなると、鬼童はどこかへ去った。のち都に出て頼光を父の敵と狙ったが、市原野で捕らえられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。