玉匣を開けて老いた水の江の浦島
どんな伝承か
浦島太郎は雄略天皇の御代に網野水の江の里の日下部首という豪族の家に生まれたという。魚釣りが好きで、浅茂川の燈台下の釣溜岩に釣った魚を溜めていた。ある日、八丁浜から沖へ出て三日三晩釣ったが五色の亀だけがとれ、眠るうちに舟は流された。目を覚ますと亀は美しい女に変わっており、竜宮へ連れて行かれる。亀姫と三年を過ごし玉匣を与えられて帰ると、両親は死に三百年が過ぎていた。玉匣を開けると白い煙が立って白髪の爺になり、むしった顔の皺を木に投げつけた。それが「しわよのび」の老木だという。浦島は浅茂川の嶋児神社に祀られ、横の霊亀之塚は明治三十四年五月に流れついた大海亀を葬ったものだという。
原典より
〈高木―「亀石」「長者屋敷」 柳田―「亀石」「長者屋敷」〉今からだいたい千五百年前、雄略天皇の御代に浦島太郎は、網野水の江の里の日下部首という豪族の家柄に生まれ、今の寛平法王陵の横の屋敷に住んどったげな。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。