化粧品を沈める夜叉ヶ池の供物
どんな伝承か
ひどい旱で水が尽きた年のこと。田のそばに蛇が一匹いたので、水をくれたら娘を一人やろうと約束した。翌朝には田になみなみと水が張られ、蛇は美しい侍に化けて娘を受け取りに来る。親は仰天したが、口にした以上は渡さぬわけにいかず、機を織っていた娘を山の夜叉ヶ池まで引いていった。娘は蛇の術によって蛇の姿となり、そのまま池へ入ってしまったという。以来、八月のある日になると、池の主となったこの神へ土産を携えて参る習わしが続く。相手は娘だからと化粧の品などを供えると、水は渦を巻いてそれを沈めていくと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。