後光を放って浜に寄った守り本尊
どんな伝承か
ある日、榊原という所から相差村へ落人がやって来ると、村ではこの頃下浦の方で七つ下がると海から後光が射してしょうがなく、日が暮れると誰も外へ出ないという噂で持ちきりだった。落人は不審に思い、ただ一人で正体を見届けようと字白浜の海上の鯨石の所へ行って見ると、なるほど後光が射してあたりを照らしている。拾い上げるとそれは一寸八分の観音であった。持ち帰って祀っていると「青山へ行きたい」としきりに言うので、青峰へ持って行ってその寺の本尊とした。以来その落人は青山の姓を名乗って相差村に住み、青山家は代々青峰から特別な待遇を受けているという。この観音は安徳天皇が腰に下げていた守り本尊が相差の浜へ流れ寄ったものだともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。