君の畑が訛った切畑と切畑明神
どんな伝承か
朝明郡田光村から江州へ行く路を切畑越という。およそ三里ばかりの行程で、そのうち三分の一ほどの山腹に家数三十ばかりの孤村があり、年貢御免の地である。朝明川から仰ぎ望むと遥かに現れて見える。むかし惟喬親王がここに住まわれたということで君の畑といったのを、後の世に訛って切畑と呼びならわすのだという。また切畑明神の社があり、親王の霊を祭るという。ただし親王は洛北小野の里におられ、出家後いくほどなく隠れたので、こうした所へ移り住む余年はなかったはずだとも按じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。