四鬼の窟に籠った鬼と刃研の名
どんな伝承か
昔、尾呂志に鬼が住んでいた。金堀の南の谷を少し上ったところに一つの窟があり、今も四鬼の窟という。鬼はここに住居を構え、ときに子供をさらうので、村人は恐れて田畑にも出られなかった。田村将軍は鬼ヶ城で鬼の首魁と手下を滅ぼしたのち、この地の鬼も退治しようと黒馬に乗り、針金橋の上手まで来た。村人に窟の在所を聞いて武具を整えた。今もここを刃研という。案内で山道をたどると鬼が岩の上にいたので、将軍は矢を放って眉間を射抜いた。残る三頭は窟に逃げ込み大石を落として防いだが、将軍は藤蔓で家来を降ろし窟口へ火を投げ入れ、煙にたまらず飛び出したところを斬り伏せた。鬼の首を埋めた所を鬼首、血の流れた所を血筋という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。