竜宮の礼にもらった金を出す犬
どんな伝承か
苫田郡上斎原村の話。石越の三造という貧しい男が、毎年正月前に餅搗き杵を本村に売りに出た。ある年、一本の杵が売れ残ったので、じいばば淵に投げ込んで竜宮にさし上げた。その夜、屋根の上に白い鳥がやってきて「三造起きい」と起こし、竜宮からの使いだが杵の礼に竜宮へ案内するという。三造は川上の竜宮で歓待され、みやげにこま犬をもらい、犬には一日一合しか米をやるなと注意された。そのとおりにすると犬は金を一合出し、三造は金持ちになった。隣の爺が犬を借りに来て米を一升やると、犬は下痢を起こして死んでしまう。三造が犬の墓を作って木を植えると木はたちまち大きくなり、その木で作った臼で餅を搗くと金が出て長者になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。