池の大蛇に嫁いだおよしと池の名
どんな伝承か
松山の薬研村に、父母とおよしという娘が暮らしていた。秋祭りの帰り道で母が急に腹を病み、通りかかった若者の家まで運んでもらう。若者は翌日も見舞いに訪れ、娘と親しくなって夫婦になろうと約束し、人目を忍んで会うようになる。父が問いただすと、相手は山里の池に棲む大蛇だという。娘は花嫁衣装を着て父母と池へ行き、空に日星が出ていると言って親の目をそらせ、その隙に池へ身を投げた。水の底から夫婦になれて嬉しいという声が聞こえたという。以来この池をおよしが池と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。