安祥寺の三つの不思議と年越の金鶏
どんな伝承か
作陽誌の伝えるところによる。大照山安祥寺には三つの不思議がある。ひとつは不浄を禁じた阿間の池、ひとつは年越の夜に聞こえる金鶏の声で、これを聞いた人は富貴自在、子孫繁栄になるという。もうひとつは盂蘭盆に虚空から響く読経の声で、これを聞いた人は仏果を得るという。長谷兵衛という人は薬師寺に参籠して金鶏の声を聞き、大いに福を得た。またある人が阿間の井で不浄の手を洗うと、たちまち水が濁って無数の蝮が湧き出したが、住職がそのまま読経したところ、すぐに清水に戻ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。