唐の難題を解いた納戸の爺
どんな伝承か
阿哲郡哲西町東では、六十になると年寄りを山奥に捨てる規則があった。若い者が仕方なく爺を捨てに行くと、爺は木の枝を折って帰り道の目印にせよという。捨てる気になれず連れ帰って納戸に隠しておくと、唐の国から知恵くらべの申し入れがあり、「七曲りの管に糸を通せ」「灰で縄をなえ」という難題が出された。役人にも解けず、解いた者にほうびをやると布令が出る。爺に相談すると、管の片方に蜜を塗り蟻に糸をつけて通せ、縄を燃やして灰縄を作れと教えられた。役所で事情を話すと、年寄りはばかにならないということになり、以後は年寄りを捨てず大事にすることになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。