蛇に巻かれた機織り女と遍路
どんな伝承か
昔ある所で女が機を織っていると、遍路が通りかかって祈っていた。いくら祈っても女が出て来ないので、遍路が諦めて家を出ようとすると、門口に蛇がいた。遍路が「これはだれのものか、ここへ帯締めが落ちている」と言うと、機を織るのをやめた女が飛び出して来て「それはわたしのだ」と言った。遍路が突いていた杖で蛇をはねとばすと、蛇は女にきりきりと巻きついて首を絞めた。女が泣く泣く助けを乞うと、遍路は七年四国を廻って仏に頼めば治してやろうと言った。女はそのとおりにして助けられた。これが今の四国遍路の始まりで、その遍路はお大師さんであったという。
原典より
昔ある所で、女が機を織りよったと。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。