明積寺の墓で飴に育った学信和尚
どんな伝承か
江戸時代の中頃、今治の旭町で飴屋を営む惣兵衛のもとへ、夜更けに白装束の青白い女が音もなく訪れ、一文銭を入れた茶碗を差し出して飴を求めた。女は六晩続けて現れたが、七日目には銭がなく、惣兵衛が憐れんで飴を多めに渡すと樒の葉を一枚残して去った。不審に思って後をつけると、女は蒼社川を渡り、鳥生の中之町にある明積寺の境内で消えた。新しい墓の下から声が聞こえ、和尚と百姓たちが掘り返すと、一週間前に産み月で死んだ母の傍らで男の赤子が飴をしゃぶって泣いていた。棺の六文銭は空になっていた。和尚が乳母をつけて育てたこの子が、のちの名僧学信和尚だと伝える。
原典より
<高木——「頭白上人」柳田――「竜泉寺」>江戸時代の中頃の出来事です。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。