痩せ牛が導いた甘酒の泉と宇賀長者
どんな伝承か
昔、土佐第一の長者といわれた宇賀長者がいた。今の浦戸の南浦にある宇賀塚は、長者の持田から納められた米の糠をふるい捨てた糠塚だという。まだ富裕でなかった頃、西隣の黒田郷にも長者がいて、これに勝ちたいと願っていた。その頃飼っていた痩せ牛が、ろくに餌をやらないのにどんどん肥るのを不思議に思い、牛の後をつけると甘酒のような味のする泉に行き着いた。この水を飲むようになってから黒田郷の長者に勝る富豪となった。白鳳の大地震で黒田郷は海に沈み、宇賀長者も跡をとどめぬほど衰えたが、財宝はどこかに隠されていると言い、朝日照る夕日輝く萩の本に小判千両漆七箱、という歌が残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。