母猿が乳を与えた朝日長者の孫
どんな伝承か
允恭天皇のころ、小野岳の頂上に朝日長者と呼ばれる豪族が住んでいた。都の有宇中将が天皇の勘気をこうむって会津に入り、この家に足を止め、長者の娘の朝日姫と契って一子をもうけた。やがて中将は形見に観音を残して都へ旅立ったが、越後の実川で急病にかかり亡くなった。それを聞いた朝日姫も嘆きのあまり世を去る。乳のない赤子に困った長者のもとへ小菊という女中が訪れて乳を与え、実母のように育てた。一年ののち、小菊は自分は以前に助けられた小野岳の母猿だと明かし、恩返しに人の姿を借りたのだと告げて姿を消した。長者はこの子を猿磨太夫と名づけ、邸内に堂を建てて観音を供養したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。