こよりが大蛇となった俵百長者の没落
どんな伝承か
何百年か前、綾南町の大字北に大層な財産家がいて、倉にはいつも米を百俵積んでいた。若い頃に牟礼の八栗さんへ参詣し、お守りにもらったこよりを奥の間の長櫃に祀って朝晩拝んでいたところ、何年かするとそのこよりが大きな大蛇になっていた。それでも変わらず拝み続けると財産はますます増え、倉の米百俵は全部売っても翌日にはもとどおりになったので、人々は俵百長者と呼んだ。大蛇は太さ二升樽ほど、長さ八メートルにもなり、暖かい日には俵の上で昼寝をしたり、家と倉の屋根を渡ったりした。家の者は恐ろしくなってついに大蛇を殺してしまい、それからは家がすっかり貧乏になったという。長者の墓と大蛇を埋めた場所が今も残ると伝える。
原典より
<柳田——「長者屋敷」>今から何百年か前のこと、大字北に沢山の財産を持った人がいて、倉の中にはいつも米を百俵積み重ねていたという。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第12巻』所収の「文化叙事伝説」全139話(香川・徳島・愛媛・高知=四国)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。