ほうのか山の惣六渓と千代渓
どんな伝承か
高岡郡と幡多郡の境にほうのか山という高い山がある。その麓に住む惣六という猟師は、いつも白弁黒弁という二匹の猟犬を連れて山に入っていた。ある日、女房の千代がいくら待っても夫も犬も帰らない。千代はひとりで山へ探しに入ったが、やはり戻らなかった。三月ほどして村の猟師が東西の谷で夫婦の遺体を見つけ、山腹に別々に葬った。惣六渓・千代渓と呼ばれる谷がそれである。その後、この山にそれまでいなかった鳥が鳴きはじめ、白弁と黒弁が主人夫婦を慰めるために鳥になって鳴いているのだと言われるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。