主を見捨てられた猟犬の祟り
どんな伝承か
小山の高橋から前沢へ通じる道の上、前沢との境近くの小高い丘に茂木の屋敷跡がある。前沢の殿様の家老茂木某の屋敷といい、明治には髷を落として農をしていた。ある年の三月三日、餅を搗いて祝っていると飼っていた猟犬が庭先で激しく吠えた。茂木某が鉄砲を持って出ると犬は先に立って南へ歩き、御殿場森の表まで来ると狼の大群が押し寄せた。茂木某は怯えて木によじ登り、一発も撃たぬまま、犬が狼に八つ裂きにされるのを見ていた。以後茂木家は目に見えて没落し、犬の祟りだと噂された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。