山姥の盥の下に隠れていた百枚目の田
どんな伝承か
香川県三豊郡高瀬町の上高瀬にある音田という山奥に、百田と呼ばれる、谷水が清く静かな場所がある。山姥がその噂を聞き、大切な衣をすすごうと、道なき道をたどってやっとこの地を探し当てた。ところが田の数を入念に数えても九十九枚しか見つからず、また踏み迷ったのかと残念がった。日も西に傾いたので、あきらめて帰ろうと衣を入れた盥を持ち上げたところ、その下に田が一枚隠れていたという。この田を盥隠し田と呼ぶ。
原典より
上高瀬の音田と云う山奥に百田といって、谷水が清く静かな所があるということを聞いて、大切な衣をすすごうと思ってやっとのことで道なき所を尋ねてきたが、あれやこれやと踏み迷い、谷水が清く美しい所を山姥は遂にさがしあてることが出…—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。